家具は「暮らしの入口」だと思う。

リピーターのお客様が増えて、あらためて感じたこと

家具屋という仕事は、一度家具を買っていただいたら終わり。

そんなイメージを持たれることがあります。

もちろん、新しくお店を知っていただくお客様もたくさんいらっしゃいます。

でも最近、私たちのお店では「またお願いします」と声をかけていただく機会が本当に増えました。

数年前、賃貸住宅に住むための家具を一緒に選んだお客様。

その方から数年後、

「家が建ったので、またお願いしたいです。」

そんなご連絡をいただくことがあります。

あるいは、

ソファをご購入いただいたあとに、

「やっぱりローテーブルも欲しくなりました。」

「模様替えをしたら、このスペースに何か置きたくなって。」

「洗面所に鏡を付けたいんですが。」

暮らしは、一度家具を置いたら完成するものではありません。

実際に生活してみると、

「ここが少し使いづらい。」

「こうしたらもっと快適になりそう。」

そんな小さな気付きが少しずつ増えていきます。

そして、その変化に合わせて家具も少しずつ育っていく。

私はそんな感覚が好きです。

先日伺ったお客様のお宅でも、印象的な出来事がありました。

以前から、

「広いベランダで休日にコーヒーでも飲みながら、ゆっくり過ごしたい。」

というお話をされていたので、ガーデンテーブルやパラソルをご提案していました。

ところが今回お伺いすると、状況が変わっていました。

鳩が住み着いてしまい、フンの被害が思った以上にひどくなっていたんです。

洗濯物も安心して干せない。

パラソルを置いても汚れてしまう。

せっかくのベランダなのに、外で過ごす気になれない。

そんなお悩みでした。

そこで私がお話ししたのは、家具ではありません。

「まずは害鳥対策を専門にしている業者さんをご紹介しましょうか。」

というご提案でした。

家具屋なのに、家具を売らない提案です。

でも、お客様はとても喜んでくださいました。

その時あらためて思いました。

お客様が欲しかったのは、ガーデンテーブルではなく、

「ベランダで気持ちよく過ごせる時間」

だったんだな、と。

家具は目的ではありません。

暮らしを良くするための手段です。

だから私は、家具だけを見るのではなく、

「この方は本当は何に困っているんだろう。」

そんなことを考えながら、お話を聞くようにしています。

家具は、お客様が毎日触れるものです。

ソファも、ダイニングも、ベッドも。

衣・食・住の「住」の中で、一番身近にある存在です。

だからこそ、家具をきっかけに暮らしが少しずつ心地よくなっていく。

そんなお手伝いができたら、それが家具屋として一番うれしいことです。

家具のことでも、それ以外の暮らしのことでも構いません。

「これ、誰に相談したらいいんだろう。」

そんなことがあれば、気軽に声をかけてください。

一緒に考えていく中で、意外と答えは見つかるものです。

暮らしは、一人でつくるものではなく、少しずつ育てていくものなのかもしれません。